塗り壁の世界をもっと自由に楽しもう
塗り壁とは何か
まずは、塗り壁について説明していきます。
壁の仕上げ材は、クロス仕上げやタイル仕上げ、パネル貼りなど、そのバリエーションはとても豊富にあります。そして、その中のひとつである塗り壁は、伝統的な仕上げ方法でありながら、現代でも多くの場所で用いられている方法です。塗り壁では一般的に、土や植物など、私たちの身近にある素材を使い、水で練って塗布していきます。下地の上にまず荒塗りをし、そして中塗り、上塗りと何度も層を重ねるように塗って仕上げていくのです。塗り壁では天然素材や自然素材を使うことが多いため、地球に優しい仕上げ材とも言えるでしょう。
塗り壁は、四季を持つ日本の風土や気候にもマッチしており、お城や神社仏閣、土蔵などを中心に古くから使われていました。一見、日本独特の仕上げ方法にも思えますが、実はそうではありません。世界に目を向けてみると、ヨーロッパなど様々な場所で用いられていることに気付くはずです。塗り壁は、世界的に古くから愛されてきた仕上げ方法なのです。時代は流れ、現代では、クロスや木などを壁の仕上げ材として用いることが多くなりました。しかし、塗り壁には塗り壁ならではの良さがあるとして、建築の世界では高い評価を受け続けています。
塗り壁が持つ魅力
塗り壁が持つ魅力としては、次のようなものが挙げられるでしょう。
・味わい深い表情が出る
・オリジナリティ溢れるおしゃれな空間がつくれる
・シームレスな空間がつくれる
塗り壁は、左官職人の手仕事によって仕上げていく工法です。そのため、何とも言えない味わい深い表情が出せるようになります。手仕事ならではの質感や、温かい雰囲気を持つ空間をつくりだせるでしょう。仕上げのパターンも、スタッコ調仕上げやコテ波仕上げ、スパニッシュ仕上げなど数多くあり、思い描いているインテリアの雰囲気に合わせて最適なデザインを選ぶことができます。
また、同じ色を選んだとしても、仕上げ方法を変えれば全く異なる雰囲気になります。さらに、同じパターンを選んでも、職人が変わればまた異なる表情になる、というケースも少なくありません。つまり、細かいデザインや色合いなどに、とことんこだわれるのです。オリジナリティ溢れる、おしゃれな空間を求める場合に最適な仕上げ方法でしょう。
また、シームレスな壁をつくれることも、塗り壁の特徴です。クロスなど、既製品を使って壁の仕上げをする場合は、どうしてもどこかにジョイントが出てきてしまいます。その点、塗り壁の場合はずっと塗り続けられるため、つなぎ目が出ることはありません。大きな壁面があっても、美しく仕上げられるのです。
塗り壁にはどのようなものがあるのか
塗り壁として代表的なものには、漆喰や珪藻土などが挙げられます。漆喰は、水酸化カルシウムである消石灰を主な原料としており、ワラやスサ、のり、水を加えていきます。仕上げの表面は滑らかで、ツルッとした光沢があります。また、強アルカリ性で殺菌効果があり、調湿性能も持ち合わせています。
珪藻土も、同じく調湿性能に優れた塗り壁として知られています。珪藻土とは、珪藻と呼ばれる植物プランクトンが化石になったもののことです。これに、のりや水を加えて練っていきます。珪藻土を使った塗り壁は、基本的に表面がざらざらしていることが多いです。脱臭や消臭作用もあるため、漆喰同様、塗り壁の素材として人気があります。
また、塗り壁には土壁やプラスター壁、砂壁など、この他にも様々な材料があります。用途や目的に合わせて最適な材料を選ぶことで、建築物の表面を、様々な表情で彩れるように。材料によって、それぞれ特徴が異なるため、事前にしっかりメリットやデメリットなどを把握しておくことも大切です。
塗り壁のメンテナンス性
長い間使うからこそ、気になるのがメンテナンス性です。「ひび割れが目立ちやすいのでは」「汚れが付きやすいのでは」と、塗り壁を迷う人も少なくありません。
実は、塗り壁といっても、選ぶ素材によってメンテナンス性の良し悪しは変わってきます。いろいろと比較検討した上で、その場所に最適なものを選択することも大切です。
例えば、調湿作用が高い珪藻土ですが、洗面所やトイレなどの水まわりには望ましくありません。多孔質素材のため、水の飛びはねや汚れなどが小さな穴に入り込み、かえって汚れが吸着してしまうからです。
もし軽い汚れが付いた場合は、消しゴムや細かい紙やすりで軽く擦って取り除けることもありますが、それでも難しい時やひどい汚れの時は、上塗りをしてきれいにする場合もあります。いずれにせよ、塗り壁の素材によって、メンテナンス方法も異なってくるため、事前に調べてから選択することが重要です。
モールテックスでワンランク上の空間を
モールテックスとは
モールテックスの4つの特徴
①意匠性に優れている ②防水性が高い ③機能性の良さ ④施工性が高い
モールテックスは、上記のようなメリットを持っており、内装に新たな可能性を引き出してくれるアイテムとして大きく注目されています。
しかし一方で、「冷たい雰囲気になってしまうのでは」と心配されるケースも。モールテックスには、グレー系の中にも豊富なカラーバリエーションがあります。真っ黒の顔料を使用したものを選べば、クールな印象になりますが、少し茶系の顔料が混ざったものを選べば、温かみのある印象に仕上げることができます。イメージに合わせて最適なカラーを選択できるでしょう。
もちろん、モノトーン系だけでなく、ブルー系やオレンジ系など、鮮やかなカラーも豊富です。とことん、空間のイメージを追求することができます。さらに、モールテックスはエイジング効果を持っており、経年変化で艶感が出てきます。長年にわたって、おしゃれで魅力的な空間を楽しめるでしょう。
また、防水性に優れているため、様々な場所に施工可能です。洗面所やトイレの壁はもちろん、シャワールームなどでも問題ありません。洗面台やシンクでも施工できるほどの高い防水性を持っています。
高い性能を発揮するには、施工方法も大切
モールテックスが持つ美しさや性能を最大限引き出すためには、正しい方法で施工することが重要です。基本的には、以下の流れとなります。
- プライマー
- 材料の計量
- 材料の撹拌
- 一層目を塗り付け
- 二層目を塗り付け
- 仕上げ(フレスコ仕上げorアセッコ仕上げ)
- 養生
- 研磨
- 洗浄
- 保護材の塗布
サカンアートでは、モールテックス基本講習会を行っており、モールテックスに関する情報だけでなく、施工方法も学ぶことができます。日本で認められているモールテックスの講習官は、わずか3人。作業のコツや失敗しないための段取りなど、丁寧にレクチャーしてもらえます。
サカンアートが手掛ける左官材料
サカンアートでは、モールテックスの他にも、様々な左官材料を取り扱っています。
例えば、その中のひとつであるビールストーンは、「テラゾ」や「研ぎ出し」を彷彿させるデザインをつくり出せる素材です。種石や顔料の組み合わせも多種多様なものが可能で、まさに唯一無二のデザインを表現できるでしょう。
その他にも、モルタル風仕上げになるコンティニューオや、金属のような仕上がりになるミダスメタルなど、豊富なラインナップを持っています。どれも、日本人が抱いてきた、「塗り壁」に対するイメージを払拭できるものと言えるでしょう。サカンアートの左官材料と共に、インテリアをもっと自由に楽しんでみてはいかがでしょうか。