珪藻土の壁のメリットとデメリットとは?

珪藻土の壁のメリットとデメリット

「塗り壁」の中でも、珪藻土は自然素材ということもあり人気の壁材に挙げられます。
珪藻土の壁には自然な風合いを出せる、耐火性能に優れるなどの利点があり、こうした利点を目当てに壁土に珪藻土を選ぶ人も少なくないことでしょう。
しかし、珪藻土を壁土に採用するならば、デメリットもしっかりと把握しておかなければ思わぬ場面で後悔してしまうかもしれません。今回は、珪藻土の壁のメリットとデメリットを中心に解説します。
珪藻土

【今回の記事のポイント】
✓珪藻土を壁土にした場合のメリット・デメリットがわかる。
✓壁面をキレイに仕上げることができるモールテックスのことがよくわかる。

更新日:2023/6/21
初稿:2022/8/22

《目次》

珪藻土とはどんな素材なのか?

珪藻土
珪藻土とは、藻類の一種である珪藻の化石が堆積岩となったものです。
ダイアトマイトと呼ばれることもあり、主に土壌改良材や保温材、建材などの用途で使用されます。
塗り壁用の建材として使用する場合、珪藻土自体には接着能力がないため、石灰やアクリル系の接着剤と混ぜて利用することがほとんどです。
 

漆喰に似た風合いの外観に仕上げることが可能で、プロでなくとも施工しやすいことから、DIY向けの建材としても人気が高い点も特徴と言えるでしょう。見た目は黄色がかった茶色ですが、様々な色に着色された珪藻土の建材も多く、内壁用の塗料としてもよく利用されます。
そういった塗料を取り扱っている会社やメーカーもあるので内装やリフォームの際は様々な情報を調べて安心な工事をしていきましょう。

珪藻土
七輪 輪島塗
珪藻土が利用されてきた歴史は長く、今から2000年ほど前のギリシャでは軽くて水に浮き、火に強い素材として、耐火レンガの原材料に利用されていたようです。
日本でも七輪の材料として活用されたり、輪島塗の漆に混ぜて吸着率を上げたりと、様々な形で活用されてきました。江戸時代には食用として利用された例もあった他、太平洋戦争中にはビスケットや乾パンの増量剤として活用されることもあったようです。

一方、土木工事で使用されるダイナマイトの開発に際しては、僅かな衝撃で爆発してしまう液体爆薬のニトログリセリンを珪藻土に染み込ませることで安全化に成功しています。珪藻土ダイナマイトは爆発力が足りないという理由でそのままの形で実用化されることはありませんでしたが、以降のダイナマイト開発における重要なターニングポイントとなったようです。

時は流れて1990年後半頃、シックハウス症候群が問題になり始めたことで、天然素材の塗り壁が再評価され始めました。
その際に漆喰と共に珪藻土が塗り壁の素材として注目を浴び、漆喰よりも安価で施工しやすいことから、DIY向けの壁材としても人気を集め始めたのです。

塗り壁

現在では、珪藻土だけでなく、漆喰やモールテックスのような材料を使用した塗り壁が人気・注目を浴びています。住宅の内壁・外壁問わず、新築・リフォームの際に塗壁の建材が使用される機会も増えています。

キッチンやトイレ・お風呂やリビングなど様々な場所で漆喰や珪藻土、モールテックスの壁が採用されており、工事事例や仕上がり事例もたくさんあります。もちろん似たような左官材料ではありますが、それぞれの特徴もあるのでしっかりと内容を把握した上で検討していきましょう。

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珪藻土でつくられた壁のメリット

珪藻土の塗り壁は、様々なメリットがあります。ここからは、珪藻土の塗り壁を採用することのメリットについて解説します。

珪藻土

■湿度を調整できる■

珪藻土には、湿度の調整機能が自然に存在します。珪藻土の表面には目には見えない程の小さい穴が無数に空いており、この穴の中に空気中の水分を吸着させることが可能です。
さらに、空気中の水分が少ない場合は吸着した水分を放出します。結果として、部屋の湿気が過剰な場合は空気中の水分を取り込み、湿度を減少させ、逆に部屋が乾燥している場合は吸着している水分を放出して湿度を増加させるといった形で湿度を調整しているのです。まさに自然の除湿器・加湿器とも言えますね。

加湿器 室内

人間が快適に過ごせる湿度は40%~60%と言われており、珪藻土の湿度調整機能はまさにこの湿度の範囲内に調整する効果があります。そのため、夏の蒸し暑い時期や冬の乾燥する時期の両方で、過ごしやすい室内環境を作り出すことが可能となるのです。
珪藻土が水分の吸収と放出を行うことから、珪藻土の壁は「呼吸する壁」のあだ名で呼ばれることもあります。その性質上、自然に湿度調整効果を実感し、環境にも人体にも害がないということで見直されているようです。

珪藻土 壁

■脱臭効果がある■

珪藻土が水分を吸着する効果の副産物として、脱臭効果がある点も見逃せないメリットと言えるでしょう。
タバコの匂い、肉や魚を焼いたときの匂いなどは生活をする上で発生するものですが、これらの匂いを珪藻土の壁が吸着することで脱臭してしまいます。そのメカニズムは、匂いの元となる化学物質が空気中の水分に溶け、それを珪藻土が水分ごと吸着してしまうというものです。吸着した水分はやがて放出されますが、そのスピードは非常にゆっくりとしています。
また、匂いの元となる化学物質も希釈されて薄まっているため、一度吸着された匂いを再度感じることもありません。

珪藻土 壁

ペットを室内で飼っている家庭でも、動物の体臭対策のために珪藻土の塗り壁を内壁に採用しているケースがあるようです。匂いに敏感な人にとっては、珪藻土の内壁は非常にありがたい存在であると言えるでしょう。また、ホルムアルデヒドやトルエンなどといった揮発性が高く人体に有害な化学物質も、空気中の湿気と共に吸着してしまうため、シックハウス症候群の予防効果も期待でき環境にも良いとされています。

左官材料の素材は天然素材を使用するものが多く、モールテックスもそのうちの一つです。そのためお子様のいるご家庭でも安心してご利用いただけます。

■耐火性能・断熱性能が高い■

七輪や耐火レンガに使われてきたことからもわかるように、珪藻土は耐火性能が非常に高いです。融点は摂氏1200度前後であり、火で炙った程度で燃えることはありません。この耐火性能によって、一般的な木材と比べて延焼に強い建材として評価されており、火災が起きても被害を抑えることに繋がります。
また、断熱性能が高い点も注目に値するでしょう。珪藻土の細かい穴には空気が含まれており、この空気が断熱層として機能します。そのため、室内の熱が逃げにくくなり、室内では暖かく過ごすことができると言われています。暖房の稼働率をある程度抑え、冬場にかさみがちな電気代やガス代の節約にもつながるかもしれません。

暖房 エアコン

■色のラインナップが豊富■

珪藻土を利用した左官材料は色のラインナップが豊富で、その数は数百種類とも言われています。
似た風合いを出すことができる漆喰は、水酸化カルシウムが使用されている関係上、冬場になると水酸化カルシウムが表面に浮き出て空気中の二酸化炭素と反応し、白色化してしまう白華現象を発生させます。この関係で、漆喰は白系統の色が多いです。一方の珪藻土に使用されている二酸化ケイ素は白華現象を起こすことはなく、顔料を混ぜて様々なカラーバリエーションを実現しており、内壁や外壁をおしゃれに彩ることが可能です。もちろん、輸入左官材料のモールテックス商品も豊富なカラーラインナップで色彩豊かな色味をお楽しみいただけます。

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珪藻土でつくられた壁のデメリット

前途で珪藻土の壁にはメリットが多いのは説明したとおりですが、一方でデメリットも存在します。続いては珪藻土のデメリットについて解説していきます。何も考えずに珪藻土を選んで後悔しないためにも、デメリットも含め学んでいきましょう。

珪藻土 デメリット

■シミになりやすい■

珪藻土の水分を吸収しやすい性質は、湿気を調節できる反面、醤油やコーヒーなど色の濃い液体をこぼしてしまった場合にシミになってしまい、汚れが取りづらくなってしまうというデメリットを持ち合わせています。液体はこぼさないように気をつけるのが一番ですが、万が一うっかりこぼしてしまった場合はすぐに拭き取るようにしましょう。そういった理由から普段からよごれの落とし方を覚えておくことも必要となります。
それでも跡が残ってしまった場合は、泡状の漂白剤を布につけてシミの部分を軽く叩けば、時間の経過とともに色が薄まるようです。後は、濡れタオルなどで軽く拭き取るなどして綺麗にしましょう。逆にシミが目立たないよう、ダーク系やブラウン系の色で着色された珪藻土を使うのもいいかもしれません。

珪藻土

■粉が落ちやすい■

ビニールクロスや壁紙と異なり、珪藻土は土でできているため、触ったり撫でたりした場合、粉がポロポロと落ちてしまうことがあります。セーターなどで珪藻土の壁に接触した場合は粉がセーターについてしまい、汚れになってしまうことも。また、子供が触ってしまい壁が汚れたりついたりする可能性もあるほか、こぼれた粉が床に散らばってしまう恐れもあります。

粉末の落ちやすさを改善し、つるっとした手触りの珪藻土材も登場してきていますが、従来の珪藻土材のような風合いは幾分損なわれます。人の出入りや接触が多いことが想定される場所には粉末の落ちにくい商品を使い、天井付近など人の手が届きにくい部分に対して通常の珪藻土材を使うといった使い分けを行うこと方法もいいかもしれません。珪藻土と異なり、モールテックスは滑らかな仕上げにより、粉が落ちる心配はありません。色味や質感はそのままに楽しむことができます。

■カビが繁殖しやすい■

珪藻土の表面は常に乾燥した手触りで、一見するとカビとは無縁のように見えますが実はそうではありません。珪藻土の吸湿能力が仇となり水分を溜め込んでいるところに皮脂汚れなどがついた場合その汚れを餌にしてカビが繁殖してしまう可能性があるのです。
特に手で触れる機会が多い箇所については定期的に水拭きを行うなるべく通気性を良くして陰干しをするなどして、カビの発生を予防しましょう。もしもカビが発生してしまった場合は、塩素系漂白剤を使って殺菌を行ったり、目の細かいヤスリでカビごと削り取るなどしてカビが広がる前に除去してしまうことをおすすめします。

掃除

モールテックスは保護剤の塗布や定期的なメンテナンスによって表面の塵や埃を落とし、キレイな状態を保つことができます。仕上がりな滑らかなため、掃除もしやすいといったメリットがあります。

■凝固剤の割合によっては効果が薄まる■

珪藻土の壁材は、珪藻土に凝固剤をいくらか混ぜて施工を行います。何故ならば、珪藻土は単体では固まることがないためです。この時使用する凝固剤には合成樹脂やセメント、石膏などが使用されますが、この凝固剤の割合が多すぎる場合、珪藻土が持つ吸湿効果や脱臭効果が薄まってしまう恐れがあります。
凝固剤が珪藻土の微細な穴を塞いでしまうのが原因で、特に珪藻土の含有量が50%を下回った場合は、吸湿効果が著しく低下します。吸湿効果や断熱効果、消臭効果を狙って珪藻土の壁を作る際には、壁材における珪藻土の含有量が高いものを選ぶようにしましょう。

■衝撃でヒビが入る■

凝固剤が少なすぎる場合には、上記とは別の問題が発生します。凝固剤は珪藻土を固める効果があるため、凝固剤の割合が低すぎると地震や道路からの振動などの衝撃によって、 壁にヒビが入ってしまう場合があるのです。
ただし、これは珪藻土特有の問題ではなく、漆喰や土壁などといった塗り壁共通のデメリットです。下地の伸縮によってもヒビが入ることがあるため、日頃から十分に注意しましょう。もしもヒビが入っていることを見つけたら、ヒビの上から重ね塗りを行うのが最適な解決策です。放置していると見苦しい上にヒビが大きくなっていき、壁面が剥離してしまう可能性もあるので、なるべく早めに対処を行いましょう。

ヒビ

壁面の仕上げならモールテックス!

モールテックス

珪藻土の壁は吸湿効果や消臭効果などのメリットがありますが、一方でシミができやすい、粉が落ちやすいといったデメリットがあります。メリットとデメリットを天秤にかけた時にデメリットがどうしても無視できない場合は、他の左官素材を使うことも選択肢に入れましょう。
モールテックスならば、優れた防水性でシミやカビなどの悩みは無縁です。左官素材を選ぶならばモールテックスも是非選択肢に入れてみてください。他にも、自分の理想の仕上がりのイメージやデザイン・インテリアに合った壁に出来るように左官材料の価格や施工・補修に関する様々なことに関して記載した記事がございますので、気になる方はぜひ、こちらも併せてお読みくださいませ。業者様からの相談や金額、施工についてもお気軽にお問い合わせ下さい。

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監修者からのメッセージ

監修者

監修者:毛受 進(2級建築士/1級土木施工管理技士)
サカンアートでは「世界の優れた左官材料の提供を通じて、日本の住環境をより豊かにする」事を目的としております。
左官でしか表現できない「おしゃれでありながらも居心地のいい空間づくり」。そんな左官材料を世界から日本に提供することでより豊かな住環境づくりのお手伝いができる存在となって参ります。

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