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ビールストーン

左官仕上げ vs ビールストーン|高級感の作り方比較

空間に高級感を与える仕上げ材として、左官仕上げは古くから設計者やオーナーに支持されてきました。塗り壁ならではの質感や手仕事の表情は、量産品では得られない独自の空間価値を生み出します。一方で近年、テラゾー風の意匠をシームレスに再現できるビールストーンが、新たな選択肢として注目を集めています。

「従来の左官仕上げとビールストーンはどう違うのか」「どちらが自分のプロジェクトに合うのか」と迷う設計者やオーナーは少なくありません。本記事では、一般的な左官仕上げとビールストーンの意匠性・機能性・コスト・施工性を比較し、目指す空間に最適な仕上げ材を選ぶための判断軸を、創業65年の左官建築材料専門企業サカンアートの視点で解説します。

【今回の記事のポイント】
✔︎左官仕上げとビールストーンの意匠表現の違いが具体的にわかる
✔︎機能性・耐久性・コスト面の比較で最適な選択基準がわかる
✔︎用途・空間コンセプト別の使い分けポイントがわかる

初稿:2026/3/9

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左官仕上げとビールストーンの基本的な違い

まずは「左官仕上げ」と「ビールストーン」がそれぞれどのような素材なのか、基本的な特性を整理します。

左官仕上げとは

左官仕上げとは、漆喰・珪藻土・モルタル・石灰系塗材などを鏝(コテ)で塗り付けて仕上げる技法の総称です。素材や塗り方によって多彩な表情を生み出せるのが特徴で、鏝の動きが残る独特のテクスチャや、素材そのものの風合いが空間にぬくもりや奥行きを与えます。日本では伝統的な漆喰壁から、モダンなコンクリート調仕上げまで幅広く使われています。

ビールストーンとは

ビールストーンは、ベルギーの建材メーカーBEAL社が開発した左官仕上げ材です。セメント系バインダーに天然石の骨材(大理石・花崗岩・ガラス片など)を配合し、塗り付けた後に研磨して仕上げます。テラゾー(人造大理石)のような意匠をシームレスに再現でき、目地のない一体感のある仕上がりが最大の特徴です。広義では左官仕上げの一種ですが、研磨工程を経る点や骨材の粒子が表面に現れる点で、一般的な左官仕上げとは仕上がりの方向性が大きく異なります。

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意匠性の比較|どんな高級感を表現できるか

高級感のある空間を目指す際、仕上げ材の意匠性は最も重要な判断基準のひとつです。左官仕上げとビールストーンでは、生み出せる「高級感の種類」が異なります。

左官仕上げが得意な表現

左官仕上げの高級感は、「手仕事の繊細さ」と「素材感」に由来します。鏝の引き方ひとつで生まれるわずかなムラや陰影が、均一な工業製品にはない深い奥行きをつくります。漆喰のマットな白、珪藻土の土っぽい質感、モルタルの無骨さなど、素材ごとに異なるトーンを持っており、和モダン・ナチュラル・インダストリアルといった空間テーマとの親和性が高いのが強みです。

ビールストーンが得意な表現

ビールストーンの高級感は、「天然石の重厚感」と「シームレスな一体感」から生まれます。骨材として配合した大理石や花崗岩の粒子が研磨面に現れ、テラゾー特有の華やかで洗練された表情を実現します。石種・粒径・ベースカラーの組み合わせは無数にあり、ブランドの世界観をそのまま素材で表現できる点が大きな魅力です。ラグジュアリー・モダン・ミニマルといった方向性に特に適しています。

意匠の方向性を整理すると

素材感・手仕事感・温かみを重視するなら左官仕上げが向いています。石の重厚感・シームレスな高級感・ブランド表現を重視するならビールストーンが適しています。どちらも「塗り仕上げ」である点は共通ですが、完成後の空間から受ける印象はまったく異なるため、コンセプトに合った選択が重要です。

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機能性・耐久性・コストの比較

意匠面だけでなく、機能性やコストも仕上げ材選定の重要な要素です。両者を主要な項目で比較します。

耐久性と表面強度

一般的な左官仕上げ(漆喰・珪藻土など)は、壁面の仕上げとしては十分な耐久性を持ちますが、カウンター天板や什器など摩擦・衝撃を受ける部位には向かないものが多くあります。ビールストーンはセメント系バインダーと天然石骨材の組み合わせにより高い表面硬度を持ち、研磨後の緻密な表面は天板・什器・床面にも採用できる強度を備えています。

防汚性・メンテナンス性

ビールストーン

漆喰や珪藻土は調湿・消臭効果に優れる反面、表面に吸水性があるため液体のシミが残りやすいという特性があります。ビールストーンは研磨仕上げに加え、専用シーラーを塗布することで水分・油分の浸透を抑えられます。飲食店のカウンターなど汚れが付きやすい環境では、ビールストーンのほうがメンテナンス面で有利です。

施工工程とコスト

ビールストーン

一般的な左官仕上げは、下地処理→塗り付け→仕上げという工程で完了し、比較的工期が短く、コストも抑えやすい傾向があります。ビールストーンは塗り付け→乾燥→研磨→シーラー処理という工程を要するため、施工日数は左官仕上げより長くなり、材料費・施工費も高めです。ただし、天然石スラブやタイル+目地施工と比べると、ビールストーンのほうがコストを抑えられるケースも多くあります。

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用途別・仕上げ材の選び方ガイド

ここまでの比較を踏まえ、具体的な用途やコンセプト別に、どちらの仕上げ材が適しているかを整理します。

壁面のアクセント仕上げ

住宅のリビングや店舗の壁面アクセントには、左官仕上げが適しています。漆喰や珪藻土は調湿性・消臭性といった機能面のメリットもあり、居住空間との相性が良好です。鏝跡を残したラフな仕上げから、磨き上げたフラットな仕上げまで、職人の技術で幅広い表現が可能です。

カウンター・天板・什器

カウンター天板や什器など、物が置かれる・触れられる・汚れやすい部位にはビールストーンが向いています。表面硬度が高く、シーラー処理による防汚性も確保できるため、実用面と意匠面を両立できます。飲食店のバーカウンター、ホテルのレセプションデスク、アパレルのディスプレイ什器などでの採用実績が豊富です。

両方を組み合わせるという選択

実は、左官仕上げとビールストーンは「どちらか一方」ではなく、組み合わせて使うことで空間の完成度をさらに高められます。たとえば、壁面はモルタルやフレスカラリなどの左官仕上げで柔らかな質感を出し、カウンター天板にはビールストーンで石の重厚感を加える。こうした素材のコントラストが、空間にメリハリと奥行きを生み出します。サカンアートでは左官仕上げ材とビールストーンの両方を取り扱っているため、空間全体を見据えた素材提案が可能です。

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まとめ|目指す空間に合った仕上げ材を選ぶ

左官仕上げとビールストーンは、どちらも鏝を使って仕上げる左官材料でありながら、生み出す高級感の方向性が大きく異なります。素材感や手仕事のぬくもりを空間に活かしたいなら左官仕上げ、天然石の重厚感とシームレスな一体感でラグジュアリーな印象を追求するならビールストーンが適しています。

また、壁面に左官仕上げ、天板や什器にビールストーンと、両者を組み合わせることで空間の完成度をさらに引き上げることも可能です。大切なのは、プロジェクトのコンセプトや使用環境に合った素材を正しく選定すること。迷った場合は、実際のサンプルを見比べて判断することをおすすめします。

サカンアートは創業65年にわたり左官建築材料を専門に取り扱ってきた、ベルギーBEAL社製品の国内正規インポーター兼ディストリビューターです。ショールームでは水回りを再現した展示もあり、ビールストーンや各種左官仕上げ材の質感を手で触れて比較できます。空間コンセプトに合った素材選びのご相談は、お気軽にお問い合わせください。

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監修者からのメッセージ

サカンアートでは「世界の優れた左官材料の提供を通じて、日本の住環境をより豊かにする」事を目的としております。
左官でしか表現できない「おしゃれでありながらも居心地のいい空間づくり」そんな左官材料を世界から日本に提供することでより豊かな住環境づくりのお手伝いができる存在となって参ります。

監修者:毛受 進(2級建築士/1級土木施工管理技士)

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