モールテックスの保護材の役割は”汚れ防止”のため
モールテックスの保護材は汚れの侵入を遅らせる
保護材は汚れを防止するためにあります。
よくお客様から勘違いされるのですが、保護材自体に防水効果はあまりありません。
逆に防水性はモールテックスの層にあるので、保護材を使っても使わなくてもどちらでも大丈夫です。
とはいえ保護材を使わないと汚れが付いたときに、汚れがとれなくなる場合があります。
せっかくきれいに仕上げたモールテックスが汚れてしまうのは嫌ですよね。
今回はモールテックスの保護材の種類と選び方、後半には施工方法について解説します。
今回の記事のポイント
✓モールテックスの保護材の種類や選び方がわかる。
✓モールテックス保護材の施工方法がわかる。
《目次》
・モールテックスの保護材は全部で6種類
-モールテックスの浸透系保護材のメリット・デメリット
-モールテックスの造膜系保護材のメリット・デメリット
・モールテックスの保護材の選び方
-モールテックスの洗面台におすすめ保護材
-モールテックスのキッチンにオススメの保護材
・モールテックスの保護材の施工方法
モールテックスの保護材は全部で6種類
モールテックスの保護材の種類
浸透系 |
|
造膜系 |
|
お手入れ用 |
|
保護材は全部で6種類です。
分類別にすると3種類になります。
モールテックスの浸透系保護材のメリット・デメリット
浸透系保護材のメリットはモールテックスの手触りなどの質感が変わらない点です。
触り心地や見た目はモールテックスそのままになります。
モールテックスの質感をそのまま生かしたい場合は浸透系の保護材を使うのがおすすめです。
逆にデメリットはメンテナンスが必要な点です。
保護材を浸透させているので、どうしても日が経つにつれて効果が薄れてきます。
ある日突然汚れが付いてしまうようになったというケースも珍しくありません。
モールテックスの造膜系保護材のメリット・デメリット
造膜系保護材のメリットとしては、浸透系に比べてメンテナンスの必要性がありません。
もちろんメンテナンスをやっていただくに越したことはないです。
逆にデメリットとしては、手触りなどの質感が変わってしまいます。
モールテックスの上に膜を作るので、ニス系のトップを塗布した質感になります。
モールテックスの質感を生かしたい場合は浸透系の保護材を選ぶこともあります。
モールテックスの保護材の選び方
ポリタン | ポリタン+ワックス | フィニッシュSA | フィニッシュSA+ワックス | オイルOH | オイルOH+ワックス | ビピュール | ビピュール+ワックス | レペルオイル | レペルオイル+ワックス | ワックス | |
床(公共施設) | 〇 | 〇 | 〇 | ||||||||
床(私有施設) | 〇 | 〇 | 〇 | ||||||||
階段 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||
水場(浴室やプールなど) | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||||
水周り(洗面台など) | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
意匠性のみ(壁や什器) | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
外部 | 〇 |
基本的に上の表を参考にして頂ければ大丈夫です。
ただお客様の好みもありますので、〇が付いてない保護材を使いたい場合をご相談ください。
※外部で使用する際はレペルオイルしか使用できません。
モールテックスの洗面台におすすめ保護材
モールテックス施工で人気なのが洗面台になります。
洗面台はビピュールがおすすめです。
ビピュールは膜を作るタイプで質感は変わりますが、水周りには一番適しています。
モールテックスに防水性はありますが湿気は通します。
ビピュールで膜を作ることで湿気もブロックできるので下地まで湿気が及びにくいです。
ただ万が一のため下地は伸縮しないものを選ぶと良いでしょう。
同じ造膜系でポリタンがありますが、ポリタンは熱湯や冷水が流れる場所に使用すると不具合が起こる可能性がありますので、使わないことをオススメします。
モールテックスのキッチンにオススメの保護材
モールテックスをキッチンで使うパターンも多いです。
キッチンで一番おすすめの保護材がオイルOHになります。
キッチンはどうしても油汚れが付きやすい場所です。
オイルOHを塗ることで、モールテックスの層は濡れ色になります。
オイルOHの成分は植物性油です。
オイルOHで色は濃くなりますが、油がはねても濡れ色になっているので油染みが目立ちません。
オイルOHは色が濃くなるのでお客様が気に入らない可能性があります。
そういった場合はレペルオイルかビピュールを提案しましょう。
ただレペルオイルだとメンテナンスをしないと突然油染みができるようになる場合があります。
ビピュールの場合も注意が必要で、油が飛んで膜を貫通する恐れがあります。
膜を突き破ってしまったら修復はかなり難しいです。
どの保護材もメリット・デメリットがあるので注意して選びましょう。
外部にはレペルオイルしか塗布できない
外部に保護材を使う場合、レペルオイルしか使えません。
他の保護材を使ってしまうと紫外線により黄変したりする可能性があります。
外部で使用する場合はレペルオイルのみと覚えておきましょう。
モールテックスの保護材の施工方法
モールテックスの保護材レペルオイル
- 刷毛やマイクロファイバークロスやローラーを使ってレペルオイルを飽和状態になるまで塗布
- 10~15分乾燥
- 表面に残ったレペルオイルをウエスなどでふき取る
- 5時間以上乾燥させる
- 1~4を繰り返す
作業自体は単純ですが、レペルオイルを塗る作業を2~4回繰り返す必要があります。
塗り重ねも5時間以上空けないといけないので、4回塗り重ねると2~3日はかかります。
レペルオイルは塗り重ねれば重ねるだけ効果が強く発揮されるので、4回塗り重ねしておきましょう。
レペルオイルが乾燥して、最初の拭き掃除はフィニッシュSAを水で薄めて使うと効果的です。
屋内の場合ですが、レペルオイルが乾燥した後にビールワックスを塗ると効果が持続され、より汚れが入りづらくなります。
レペルオイルを塗布して完全に効果を発揮するのが3~4日後なので、その間はできるだけ使わないようにしましょう。
モールテックスの保護材オイルOH
- 使用前にオイルOHをよく振る
- ウエス、ローラー、刷毛などで均一に塗布する
- 余分なオイルはふき取る
- 表面のテカリが消えるまで乾燥(20度下で2時間くらい)
- さらに①~④を3~4回繰り返す(飽和状態になるまで)
オイルOHもレペルオイルと同じく塗り重ねする必要があります。
ただ乾燥時間が短いので、1~2日間で終わらせることが可能です。
オイルOHをふいた布を放置すると自然発火する可能性があるので注意しましょう。
オイルOHを塗るとモールテックスは濡れ色に固定されます。
お客様に提案する際は注意が必要です。
下の画像はそれぞれ左半分にオイルOHを塗ったものです。
モールテックスの保護材ポリタン
- 使う量だけ計量(2液性なので硬化剤と主材の計量)
- 硬化剤と主材を攪拌
- 刷毛か4ミリ程度のローラーで塗り跡が残らないように塗布
- ワックスを使う場合はポリタンを塗布してから8時間以上してからワックスを塗る
ポリタンは他の保護材に比べて塗り重ねがないので1日で作業が終わります。
ワックスを使う場合はポリタンを塗ってから8時間以上乾燥させた後にしましょう。
ポリタンを施工する際は、強烈なニオイが発生しますので飲食店の隣の現場などはクレームの原因にもなります。
あらかじめ現場周辺の環境を見ておくことが大事です。
ポリタンは膜の強さが発揮されるまで7日間はかかるので、7日間塗布したところは使わないようにしましょう。
ポリタンは仕上がりのツヤ感がお選びいただけます。
下の画像は左がツヤあり(ブライト)、右がツヤなし(マット)です。
モールテックスの保護材ビピュール
- A液、B液を使う分だけ計量
- A液をふるいでこす
- A液とB液を攪拌
- マイクロファイバー性の無泡ローラー(7ミリの長い毛、縫い目のないもの)で塗布
- 8~12時間乾燥
- 二層目を塗布
同じ造膜系もポリタンとは違い、作業に2日間かかります。
ワックスを上から塗る際のタイミングは完全乾燥後(5日後以降)です。
ビピュールは水回りに適していることから使われることが多い材料です。
完全乾燥に5日間必要なので使わないようにしましょう。
ビピュールもポリタンと同じく仕上がりのツヤ感をお選びいただけます。
下の画像で左上は光沢(グロス)、右上は三分艶(サタン)、左下はツヤなし(マット)、右下は何も塗布していない状態です。